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月代文雪の日記。 シルバーレイン参加者以外はすぐお戻りくださいませ。
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悲しみの果てに
雪兎は


ひとつ、花をおいてゆく

悲しみの果てに、雪兎は何を見たか

輪廻の世界に生れ落ちたことを憎むか
嘆くか

「いいえ私はもう諦めた」

雪兎の紅の眼は血に塗られた故につくられた瞳
潤むその眼は
血によって輝く

雪兎は、月の裏で跳ねる
月を崇め、月を、
嘲笑う

「何故貴方はこんな未完成品を生んだ!? 貴方が未熟故にだろう!」

叫び
響かない
嘆き
聞こえない
無音の果てに

喉は潰れ
声も出ずに

かすれた声、雪兎は言う
「地獄に私を産み落としたかったのなら大成功ですよ カミサマ?」

神を崇めるはずの聖職者でありながら
神を、嘲る

愚かな愚かな雪兎は
己の姿を知ったとき、気違う
「化物として生まれた私は 人を、殺す?」


(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!!!!!!)

血の雨にひとつ青い傘さした
自分は見えない、自分は誰も殺していないと
現から逃げる

逃げよ逃げよ愚かな兎!!
御前はいつか黒に足をとられ
いつか黒に塗れ
死んでいくのだろうから

「私は、化物なんかじゃないぃぃぃぃぃぃぃぃッッッッッ!!!!!」


そう、主張してもそれはもろく現に壊されて

自分が殺した人、人、人。

(あぁ、結局私は、化物)

慣れきった心はもう、何も感じない

「貴方たちなんて死んで当然」

何も感じないのに何故
「・・・何故、涙が出るんだろう?」

紅い、涙。 地獄に堕ちて。
ぽしゃりと音を立てて、地獄に帰る

「何も感じないのに、何も感じないのに、何も感じないのに―――!!!!」

何も、感じないなんて、雪兎は嘘を言ったのだ。
嘘は、本当に姿を変えて、雪兎の心を壊し始めたのだ。

苦しみから逃れることはもう出来ない

それは雪兎が引き起こした狂気

永遠に
雪兎が死に至り、その厄をその身に封じぬ限り
その狂気は雪兎を操る

狂気は、雪兎を地獄へ落とした。

それでも
地獄の底にはまだ、救いがあったのだ

地獄は暗く、黒く。 存在を奪われそうになりつつも。
雪兎は、見た。

「・・・あぁそれでも」

雪兎が見たものは

「それでも花は美しくて」

血塗られた紅い、紅い、花。
黒の中でも消されずただひとつ、ぽつんと、立つ。

雪兎は、溜息をひとつついて、絶叫する

「幾度も学ばぬ世界はもう見飽きた! 私はこの地獄でこの花のように生きることが出来ないとしても!
生きることしかない! 救済者にこの命を斬り捨てられるまでは!」

花は、紅く
雪兎は、蒼く

地獄の果てで色を持ち
生きていく


黒の世界に生きゆくことは容易いことではないが
それでも
生きるほか無いと
死への脚本通りに歩むほか無いと
雪兎は悟る
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